教室から出ても人の群れ。
全部野次馬だ。

私は見世物じゃない。
苛立ちが態度にも表れる。

 「…退いてくれないかしら」

スッと目を細めれば少しだけ道が開けた。

邪魔だ。
もっと早く動けないのかこいつ等は…

 「「みーつけた!!」」

少しずつ進んでいれば、後ろからそんな声が聞こえた。

 「「刹那ちゃんみっけ!」」

声と共に背中に衝撃が走る。
このぴったりと合わせられ声は生徒会の双子だろう。

腰に抱き着かれ身動きができなくなる。
小さいからと言ってもやはり男の子。
抱きつかれた手を解けない。

逃げそこなった!
まさか双子まで来るとは…

 「離してくれませんか?」

 「ダメなの!会長さんに言われた初仕事だもん!」

 「だから刹那ちゃんを生徒会室に連れて行くの!」

 「ちょっと用事が…」

 「用事なんて無いでしょ」

 「いや、だから…」

 「先生にも許可取ってあるからいいの!」

グイグイと前に押し出されながらも、
彼らの説得に当たってみるが一切話を聞きそうにない。

 「ほーら行くよ!」

このクソガキっ!
体当たりするような勢いでグイっと後ろから押され、
踏ん張っていた足がとうとう進んでしまう。

 「ちょっと!」

双子はそれを見逃すわけもなく、力尽くで私を運ぶ。
それから押されるままに生徒会室に連行されたのだった。