よっしゃ! 勝ったーっ!


大きくガッツポーズをして勝利を喜んだのも束の間、百万円は五日以内に支払えと言われ目が点になる。


「と、五日ですか?」

「当然だろ? 決まりかけていた客を差し置いての契約だ。先客を納得させる為にも即金という形にしてもらわないと困る。本来なら今すぐ支払ってもらいたいところだが、社員特権で五日待ってやる。感謝しろ」


有難いが……微妙な特権だ。でも、どうしよう……調子に乗って大見え切っちゃったけど、冷静になって考えてみれば、貯金なんて一銭もなかったんだ。


「あの……ローンを組みたいのですが……」


恥を忍んで聞いてみたが、速攻却下。やっちまった感がハンパなく、完全に途方に暮れていると零士先生がある提案をしてきた。その提案とは、零士先生が個人的に私に百万円を貸してくれるというものだった。


「本当ですか?」


百万もの大金を貸してくれるなんて、さっきまで悪魔のようだと思っていた零士先生が一変、慈悲深い天使に見えてきた。


「あぁ、その代わり、返済方法は俺が決める。いいな?」

「は、はい……それで、その返済方法とは?」


小声で訊ねると零士先生が立ち上がって手招きする。だから少し前屈みになり顔を近づけたのだけど、不意に伸びてきた手に顎を持ち上げられ、強引に上を向かされた。


「返済方法は、お前の体だ。その体で払ってくれ」

「えっ……」


その言葉を聞いた瞬間、甘酸っぱい初恋の思い出と共に十年前の悪夢が蘇ってきて胸が苦しくなる。


あの時と同じだ……