またさっきの興奮が蘇ってきて、輝樹君と話していた時みたいに捲し立てる。


「Arielの作品って、ホント素敵! あんな精密な絵よく描けるよね。でも、Arielってどんな人なんだろう? 新太さんはArielのこと何か知ってる? もしかして、会ったことあるとか?」


私の矢継ぎ早の質問に彼の表情が曇った……ように見えた。


「あっ……ごめんなさい、私ひとりで喋っちゃって……」

『いや、別にいいよ。でも、残念ながら俺はArielのことはよく知らない。会ったこともないよ』

「そうなんだ……」

『じゃあ、そろそろ仕事するから、今日はこれで……』

「あ、うん、頑張ってね」


笑顔で会話を終わらせたけど、内心、余計なことを言ってしまったんじゃないかと焦っていた。


ジャンルは違うが、新太さんがArielをよく知らないなんてあり得ない。もしかしたら新太さんは、突然脚光を浴び有名になったArielをライバル視しているのかもしれない。だとしたら、私がArielを大絶賛したのは、マズかった。


そうだよね、まだ駆け出しの輝樹君と既にアートの世界で活躍している新太さんは違う。なのに私ったら、調子に乗ってあんなこと言っちゃって……


後悔と同時に新太さんに嫌われたんじゃないかと心配になり、夕食が喉を通らない。こんなことくらいでって笑われそうだけど、それには理由があったりする。