「私の気持ち?」
不思議そうに首を傾げる薫さんに勇気を振り絞り「常務のこと、好きなんですよね?」と聞いて反応を伺っていると……ほんの一瞬だったけど、大きな瞳が揺れ動揺の色が見て取れた。
薫さんは常務をただの幼馴染みじゃなく、ひとりの男性として見ている……
そう確信したのと同時に罪悪感に苛まれ胸がチクリと痛む。が、突然、薫さんが右手をヒラヒラさせて笑い出した。
「アハハ……希穂ちゃんたら、真面目な顔して何を言うかと思ったら……私が零士のこと好きだなんて、冗談キツいわ~」
「えっ……」
「もしかして、私が失恋してショックを受けているとでも思ったの?」
「あ、それは……」
一頻り笑った薫さんはウェーブがかかったミディアムヘアを掻き上げ、軽く咳払いをする。
「いい? 零士は一番近くに居る信頼できる友人……それ以上でもそれ以下でもないわ。確かに彼はいい男だし、春華堂の御曹司で次期社長。男性として魅力的だけど、近過ぎてね。恋愛対象にはならなくて……」
「本当に?」
「ええ、もし私が零士のことが好きなら、とっくの昔に告白してるわよ。二十年も傍に居たんだから」
「あぁ、なるほど……」
言われてみれば、そうかもしれない。二十年も自分の気持ちを隠して友達であり続けるなんて薫さんのキャラじゃないもの。それに未婚とは言え、薫さんは他の男性と恋愛して子供まで産んでる。ってことは、私の考え過ぎ?
色々考えを巡らせていると薫さんが私の心を見透かしたように「安心した?」ってクスリと笑い、続けて「私も安心したわ」と呟く。



