――翌日……
朝、目を覚まし、隣で零士先生が小さな寝息を立てている姿を見て、彼に抱かれたのは夢じゃなかったんだと改めて思う。
それにしても、なんて綺麗な寝顔なんだろう。
真っ白なシーツの上で無防備な姿で眠る筋肉質の体はゾクリとするほど色気があって美しい。まるでヘルメスの石膏像のようだ。
暫くすると長い睫毛が微かに動き、少し開いた瞼の奥から色素の薄い茶色い瞳が覗く。
「起きてたのか……」
眠そうな顔で優しく微笑むその笑顔だけで悶絶してどうにかなりそうだった。それと同時に昨夜のことが思い出され、羞恥で零士先生をまともに見ることができない。
とうしよう……抱かれた時より、今の方が何倍も恥ずかしい。
「早いな。まだ五時半だぞ」
そんなの分かってる。でも、あんな綺麗な寝顔を見てしまったら、見惚れてしまって二度寝なんて絶対無理だ。
「め、目が覚めちゃって……あの、シャワー借りていいですか?」
とにかく一旦、この場から、いや、零士先生から離れたくて照れて真っ赤になった顔を隠しながら起き上がるも、彼の逞しい腕に引き戻される。
「希穂……」
掠れた声が心地よく耳に響き、またあの温もりが私を包む。
「キスもせずに行くつもりか?」
「えっ?」
「ほら、こっち向いて。可愛い顔を見せて……」
そのままベッドに押し倒され、甘い吐息と共に唇を奪われると、さっきまでの恥ずかしさは跡形もなく消え去り、熱い想いが込み上げてくる。
あぁ……零士先生、大好き……