その時、ドアの向こう側で足音が近付いてくる。それはドアの前で止まった。
「…流石にここはいないか…。
ちっ…どこ行ったんだ、全く…。」
そう呟くと、足音の人物は去って行った。
「はぁー…行ったか…。」
目の前の蓮叶君は
ようやく口を塞いでいた手を離してくれた。
「さっきの智悠さんだよね?
何かあったの?」
「いやー…あいつの分のケーキ、
うっかり食っちまったんだよなー。
怒ると鬼だからさー、あいつ…。」
「そういうことね…。」
食い物の恨みは怖いってことね。
黒王子な智悠さんならありえるかも…。
「でも、もういいんじゃないかな。
智悠さんはもう行っちゃったんだし…。」
口は塞がれてないけど体は密着したままだ。
「まぁ…そうだよなぁ。」


