その灯りを見て、なぜかほっとしてしまった。ただ、それだけの事…


「千歳、来週お休みをもらいたいんだけど…」

閉店作業を済ませ、着けていたエプロンをいつものようにカウンターのイスにかける。

「い-よ-?いつ?」

「月曜から一週間ほどなんだけど…」

「い-よ-?どっか行くの?」

先程からカウンター席に座って、売り上げ伝票をつけている千歳があっさりOKを出す。

「身内にちょっと、ごたごたがあって…」

「そっかー、大変だねー」

…いつも思うけど、どうしてこうも簡単にお休みをくれるのだろう。一応、社会人経験のある自分としては、ちょっと信じられない。

「お店大丈夫?」

「うん、大丈夫、大丈夫。おじさん達に忙しい時は手伝ってもらうから。ほら、もともと一人でやってたし…鳴海がいてくれると助かるけどね」

作業の手を止め、自分の方を見ながら千歳が言った。

「そっか…じゃあ遠慮なく」

「うん、お疲れ様、気をつけてね-」

「お疲れ様…お先に」

気楽なアルバイト生活に少しつかり過ぎたかもしれない。自分が元いた場所と時間の流れ方さえも違う。

はたしてブランクは、うめられるのだろうか?いちまつの不安はぬぐえない…