秋雨続く、この頃。

いつもと変わらない仕事しかない日常。

事務員であるから、繁忙期を除いて
基本定時で帰れる。

過去に仕事帰り習い事もしてみだが、
しっくりこなくて、結局辞めてしまった。

いつもと変わらない帰り道。
違っていたのは、近所に捨て猫が居たこと。

飼い主の良心が痛んだのだろか
雨をしのげる所に子猫置いていった。
それでも、子猫は濡れていた。

近寄ってみると、弱々しく鳴いている。
見えているのか見えてないのかわからないが
こちらを見つめている。

飼ってあげたいのは、山々だが、
うちのアパートはペット不可だ。

猫好きな友人も、思いつかない。
どうしたものか考えて、
急いで、家に帰って、
タオルとミルクを取りに帰った。

この子の所に戻り、急いで
優しく子猫を拭いてあげて、
ふかふかのタオルで包んであげた。
そして、ミルクを与えると
私に、いいの?と伺う様に首を傾げている。
「飲んで大丈夫だよ。たくさん飲んでね」
と言ったら、飲み始めた。

小一時間子猫と一緒にいた。
この際、ペット可のマンションでも
引っ越しするか?
いや待て、その間この子はどうなるのか?
ぐるぐる考えていたら、同僚に出会った。

『お前、こんなとこでどうしたんだよ?』

かくかくしかじか、説明して理解を得た。
『俺で良かったら、引き取ろうか?
俺んとこ、ペット大丈夫だったはずだから』

「お願い出来るの?良かった~。
それじゃ、斎藤君お願いします!」

『おうっ。それよりか、お前眼鏡は?』

普段私は眼鏡をかけている。
コンタクトにも挑戦してみたが
身体に合わなかった。

「子猫が顔舐めるから、外してたの。
そこまで目が悪くないから、無くても見える」

そっかと短く斎藤君は言った。
『子猫のさ、名前何にする?』

「斎藤君が引き取ってくれるんだから、
斎藤君が決めてよ」

『いや、最初に見つけたの石田だろ?
だったら、石田がつけろ』

何がいいかな?ミケ、タマ、クロ
ベタなのしか思いつかない。

『なぁ、言い出しといて悪いけど『雨』は?』
そう言って、空を指す。

雨、雨、雨。

「いいね。雨ちゃんか。
今日から君は、雨ちゃんだ。」

『その言い方、飴ちゃんに聞こえるんだけど』

そうだねとお互い笑いあった。
雨ちゃんが、あくびし出したので
解散することになった。

子猫と触れ合って、きょうの私の手は寂しくなかった。