「あっ!ちょっと!そんなに走ったら」
そんな声を無視して俺の脚に白猫が体を擦りに来た。
こいつ、また餌もらおうって来たのか…。
そんな毎度毎度来てあるわけねぇだろ。
まぁ、持ってきてっけど。
てか。
こいつ足怪我してんじゃねーか。
ハンカチなんか巻いて。
そんなことをぼーっと思っていると視線を感じた。
顔を上げると…
「ッッ」
息が詰まった。
真っ黒な髪に、大きな瞳。
すっと通った鼻に白い肌によく映えるピンクの唇。
普通の人が見れば、日本を代表するような美人。だと言うだろう。
ただ、俺はこいつを知っていた。
こんな場所が1番似合わないやつ。
こんな場所に1番来て欲しくないやつだった。
