しばらく歩くと見覚えのある大きな建物が見えた。 安心して体から力が抜けそうになる。 「…ありがと」 「別に。猫の手当のお礼だから。」 ん?案外怖くない人なのかな…? 不機嫌そうだけど、送ってもくれたし… そう思って少し笑ってしまった。 でも、 「お前、さっきのところ二度と来るなよ。」 今までよりも低い声に驚いて彼の顔を見る。 彼は真剣な顔でこっちを見ていた。 「…う…ん…」 あまりの気迫にそう言うことしかできなかった。 彼の瞳が一瞬だけ悲しみを帯びたように見えた。