ハルジオンが咲く頃に。【第2章まで更新中】



しばらく歩くと見覚えのある大きな建物が見えた。



安心して体から力が抜けそうになる。




「…ありがと」




「別に。猫の手当のお礼だから。」




ん?案外怖くない人なのかな…?




不機嫌そうだけど、送ってもくれたし…



そう思って少し笑ってしまった。



でも、




「お前、さっきのところ二度と来るなよ。」





今までよりも低い声に驚いて彼の顔を見る。





彼は真剣な顔でこっちを見ていた。





「…う…ん…」






あまりの気迫にそう言うことしかできなかった。





彼の瞳が一瞬だけ悲しみを帯びたように見えた。