「あっ!ちょっと!そんなに走ったら」
と言いながら目でおった先には…人が居た。
…ッ。
視線の先にいた彼は、驚く程に整った顔立ちをしていた。
制服を着ているから多分学生なのだろう。
猫はその彼に私と同じように喉を鳴らしながら体を彼の長い脚に擦り付けていた。
猫を見るのに伏せた目がそっとこちらを向く。
少し眺めのシルバーグレーの髪の隙間からゾッとするほど、真っ黒な瞳が見えた。
どこまでも引き込まれてしまうようなそんな目。
私を見た瞬間。
その目が大きく見開かれた。
でも、その一瞬だけ。
その後すぐに彼は、
「帰れ。ここはお前みたいな『まとも』な人間が来るところじゃない。」
そう言い放ち、私に背を負けて歩き出した。
「ちょっ、ちょっと待って!!」
