迷った。
いつの間にか全く人気のない裏路地に来ていた。
携帯で地図を見ようとも、運悪く充電切れだ…。
…どうしよう……。
暗くなってきたし…。
ニャァオ。
…猫?
びっくりして下を見ると、白い猫が私の足に頭や体を擦り付けていた。
「どーしたの?」
あまりの可愛さにしゃがんで猫の喉を触る。
ゴロゴロ…と喉を鳴らしている。
…可愛い……ん?
白い猫の足が少し赤く汚れている。
よく見てみると
足の裏を切って血を出していた。
「大変!」
急いでカバンから新品のハンカチを出し傷口を覆うようにまく。
これでまだマシだよね…。
多分この子の毛並みからするに、飼い猫か野良でも誰かがちゃんと餌をくれているのだろう。
「ちゃんと治すんだぞ!!」
と猫を抱いて言っていたら
ニャァァ!
とひと鳴きして腕の中を飛び出して私の後ろに走っていく。
