「夏生はん。この子が怯えてるやないですか。もぉちょっと声抑えてくれはります?」
「なっ! ……す、すまなかったな」
どう見てもその謝罪は私の目を見て言われたので、コクリと頷いておいた。
とりあえず、私はどうなるんだろうか。帰れる、ん、だよ、ね? ね?
「夏生はん、この子、親御さんが神様らしいですわ」
「は?」
……………え!? そうなの?
これには私も自分の無意識下での言動を覚えておらず目を見開いた。
声には出さなかったけど。
「その後も、神様に私何かしたっけ? 怒っちゃった? 怒っちゃったの? 怒っちゃったのねー!? 的なことを舌足らずな口調で
「あーーーーー!」
心の声、駄・々・漏・れ!
一緒に来たもう一人のお兄さんの言葉を、私はあらん限りの声で封じた。
私の黒歴史化するであろうことをそう無闇矢鱈と吹聴しないでくれ。
しかも、私は神様の子供ではない。
んん、神様が人間を作ったっていうキリスト教の考え方からするとあってるのかな?
んー……難しいことは分からん!
「……とりあえず中入らへん? 喉乾いたわ」
「あ、あぁ」
ちらりと私の方を見て、眉間に皺を寄せたお兄さんは玄関の戸を開けて中に入っていった。
抱っこしてくれてるお兄さんもそれに続いて戸を潜った時
「いらっしゃい。小さな僕らの神さん」
そんな声がふわりと風に乗って聞こえてきた、気がした。



