結果、諦めた。

 いや、諦めたんじゃない。受け入れたんだ。だってどうしようもないんだもの。

 私、体が推定年齢三から五歳児くらいになってました。
 いやぁー何の冗談なんでしょうね。ワラエル~。


 ……笑えねぇよ。


 そのまま抱っこされ、着いた先はどでかい日本家屋の平屋建て。


 正直……ヤのつく自由業な方達が住んでそうなお家なんだけど。

 奥から丸坊主頭で頬に傷があってばっちり入れ墨持ってる人が出てきたらどうしよう。


 体が縮んでる私からすれば見上げる程もある門がギギィっと音を立てて開かれると、門の向こうには一列に向かい合って並ぶ強面のオニイサン達が……いなかった。

 代わりにいたのは眉間に皺を寄せた鬼、もといお兄さんだった。


 「おやまぁ、夏生はんが自らお出迎えしてくれはるなんて。悪いもんでも食べたんちゃいます?」
 「……お前、膝をついたらしいじゃねぇか」


 初対面だけど分かる。ばっちり分かってしまうんだよ。

 この人、怒ってる。怒ってるよ?

 そんな話をはぐらかすようなこと言っちゃうの!? 大丈夫なの!?


 ちょっぴり心配になって見上げると、鬼の形相の夏生と呼ばれた人とは正反対にニコニコとイイ笑顔をしていた。


 「膝をついたなんて大袈裟やなぁ。あれは相手を油断させるための罠やったんですよ。それとこの子、今日からしばらくうちで預かりましょ」
 「はぁ!? うちは子供の託児所じゃねぇよ!!」


 いきなりの怒鳴り声に、思わず体がビクッとなってしまった。

 それを目ざとく見つけ、抱っこの手は今までよりもほんの少し強くなった。


 あービックリした。