誘拐とか怖いから、あんまり綾芽の目が届かないところには行かないし、行っちゃダメ。
こんな姿になって、なおかつ誘拐までされましたなんて言ったら、私の事案遭遇率はどうなってんのと問いたくなるもの。
それに、これ以上綾芽達に面倒はかけられないしね!
しばらくは黙って本の背表紙を眺めたり、人の往来をぼーっと眺めていた。
「お待ちどぉさん。ついでになんか買うてあげるわ」
「えっ、いいの?」
「えーよ。ほら、絵本ならあっちや」
……やっぱり絵本なわけね。
いいですけどね! 買ってくれるんなら!
文句は言いません。言いませんとも。



