た、食べたいっ!

 こんなに美味しそうなものをみすみす逃していいものか、いや、いいわけがない。

 絶対によくない!


 伸ばしかけた手をふんわりと包み込んだのは、隣に座っている綾芽の手だった。


 「もうお腹いっぱいなんやろ? それ以上無理したらあかん」
 「で、でもぉ……」 


 デザートは別腹っていうよね?

 だからちょっとくらい……ダメ?

 ……ダメですね、はい。


 「……綾芽が保護者してる。マジウケるんですけど。悪魔って言われてる綾芽が」
 「薫。この子にあんまり変なこと教えんといて。小さい子ぉは何でもかんでもすぐ吸収するんやから」

 「かおる? おにーちゃ、かおるっていうの?」


 パフェを持ってきてくれた少年は薫という名前らしい。

 ジャニーズにいそうな顔立ち、身長の方はまだまだ発展途中ということにしておこう。

 コック服、決まってますね!


 「そう。ここの料理長」
 「ふおぅっ!」


 ……見た目によらず、偉い人でした。

 人を見た目で判断しちゃいけないののいい例だった。