「やっぱり恭子ちゃんは
可愛い自分知ってるよねー」

お決まりの舞花リポーターが
本日のファッションチェックを報告。


先生が言っていたように
夕方になると一気に長袖が必要になる寒さ。


夏の終わりの学校行事は
2泊3日のキャンプだった。


3日間、私服が着られるということで
年代が変わってもかわらないのが
男女共ファッションを張り切る!
というのが毎年恒例の決まりらしく…


人生経験が長い先生からは
女子はスカート禁止と
夜は寒くなるから長袖必須と告げられていた



そして
もうひとつ、恒例が
カップル誕生!


2日目のキャンプファイヤーの時までに
告白すると、末長く幸せになれる!という
うちの学校ならではの都市伝説があった。




恭子ちゃんは
門倉に告白しちゃうのかな?



私は…



やっぱり出来ないや。


いつもの関係が崩れるのが怖くて…

ズルイかもしれないけど


どの子よりも1番近い距離にいれる
この関係を壊したくなかった。





「あずさー。
門倉くんの写真撮ってきて!
お願い‼︎」



あーぁ、これで今日何人目だろう。


隠し撮りじゃなくて
カメラ目線の写真が欲しいと、
何人もの女子が頼んできていた。



『ツーショットで撮ってもらえば?』

「だって、断られたんだもん」



だよね。
そう、わかっていた。


門倉は、無駄話をする女子は
私と”かあちゃん”(あだ名)くらいで
他の女子とは必須最低限以上は
話さないのである。


かあちゃん。とは
小学校も同じだったようで腐れ縁てやつ?
あだ名のとおり
みんなのお母さんのようなシッカリモノ!
頭も良くて、性格も良い!

でも、私がかあちゃんにたいして
ヤキモチ妬かないのは

こんな言い方は気がひけるけど…
見た目もかあちゃんだから。

だから、勝手になんとなく安心感…



渋々、頼まれたカメラ5台を持って
門倉のバンガローへと行った。



『門倉〜!写真撮らせて〜!』

断りもなしに部屋のドアを開けると
シャワーを浴びた後なのか
上半身まだ濡れている門倉が立っていた。



『あ。』



ビシャン‼︎

と強くドアを閉められた。


「あ。じゃねーよ!」



ヤバい、不覚にもドキドキしてる。
上半身なにも着てないことくらい
お兄ちゃんもそうだし
全然たいしたことないしっ!

恥ずかしさを感じとられないよう
すかさず門倉に言い返した。


『それくらいのことで
はずかしがってんじゃないよ!』



なに、言っちゃってんだろ私。
それは私の方じゃん。


顔が熱くなってきてるのがわかっていたから
ドアを閉めてくれた門倉に感謝さえしていた


と思っていた矢先
10センチ程ドアが開き
流行りのテイシャツブランドのロゴが見えた


「エッチ〜」

ビシャン!
再びドアが閉まった。


ドアの向こうから笑う声が聞こえた。





なっ!


な!




えっち。とは




なにや〜〜つ〜〜!



頼まれたカメラ撮影をすっかり忘れて
ただ、ただ恥ずかしくて
自分の部屋へと戻った。