「なぁー、おい。
アレどうにかしてくんね?」

昼休みが終わった頃
教室の後ろのロッカーを指差して
門倉が言った。


指の先を見ると
門倉の名前のシールが貼られたロッカーに
綺麗に畳まれたジャージが置いてあった。


『あー、はいはい。』

面倒くさそうに返事をしながら
綺麗に畳まれたジャージを崩した。



本当はこのいつもの一連のやりとりが
嬉しかったりする。


「マジで気持ち悪りぃんだよな。
人のジャージ、
わざわざ勝手に触るなよな」


『綺麗になってんだから良いじゃん』


とか、言いながら
きっと私の顔はニヤニヤしてるだろうな。


門倉は、ジャージを畳んでいるのが
恭子ちゃんだと知ってて

それをいつも
あえて、私に崩させる。


可愛い恭子ちゃんに
少しだけ勝ったような優越感な私は
きっと意地悪な顔してるだろうな。