そして数年後アタシの仕事となる彫り師。


19歳の頃は考えてもなかったけど
タトゥーに興味を持ったのは
丈さんに出会ってから。



「腕見せて?」

丈さんの袖口から見えるタトゥーを
仕事終わりに全部見せてもらったことがある。


細かい線がいくつもいくつも引かれて
腕一面に筋彫りがされていた。


「まだあと色が入る。
色が入ったらもっと綺麗になる。」


そう話す丈さんのタトゥーをなぞると
丈さんは笑いながら言った。



「きよはダメだぞ。本物のタトゥーは。
女の子だし痛いからなー。」


元からタトゥーは可愛いと思ったけど
痛いっていうのと一生残るっていうのが
気にかかって本気で入れようと思ったことはなかった。