「まあ、そんなこんなで、ひたむきに頑張る姿に惚れてしもうたんよ。…って、華ちゃん?」
急に俯き出した彼女の顔を覗き込む様にして聞く。
が、返事は返ってこない。
気分を悪くさせてしまったか。
嫌でも不安になる。
4つ上とはいえど、女からすれば、やっぱりおじさんか。
そう思われることは、こちらとしてもかなり堪える。
「いくらクソが付くほど優しい華ちゃんでも、こうゆう人生左右することは、本当のことをすっぱり言わなあかんで?」
「…ほ、本当なんですか…?」
やっと顔を上げたと思えば、目に涙を溜めている。
「え。本当て、何が…?てか、ど、どうしたん?!」
「からかいとかでは、ないんですか…?」
何となく、大人の。いや、男の…。いや、この角野英吉様の勘がはたらいた。
「嬉しいなぁ。もしかして、喜んでくれとる?」
「本当なら、とても嬉しいです」
涙をこらえながら、真っ赤に微笑んでくれているのを見て、胸が落ち着かなくなる。
くぅーっ、落ち着け、俺!
せっかくの告白やん!
最後まで格好良く決めたいやん!
「先輩は何しとっても格好いいので、好きになりそうです」
あら。完全に好きなわけではないんかい!
それは残念。
まあ、ええや。
「徐々にでええよ。俺に惚れてな」
「…はい、すいません」
「ほらー、また謝る。次から華ちゃんだけ、すいません、て言う代わりに「頑張ります!」な!」
「…それ、会話が噛み合わなくなりませんか?」
「おどおどしとったら、おばちゃんグループにいびられんで!やる気みせたれっ!!んで、いつかは逆転したれっ!!
それくらいでおらな、出来るもんも出来やん様になってまうで」
「やる気はこれでもかってくらいあります。まだ、出来ないだけです」
「揚げ足取んの好きやなー。
でもな、華ちゃんよ。周りに認められてへんてことは、悔しいけど出来てへんのと一緒やで」
「頑張ります」
「そや、頑張れて!そんでな…―」
******
まだ続くんかい、とひそかに思ったのは秘密でお願いします。



