好きになりそうな気持ちをぐっと押し殺そうとした瞬間。



「俺な、華ちゃん、むっちゃ好きなん。」



言い方は軽いけど、信じられない言葉に勢いよく頭が上がる。

その瞬間、先輩と思いっきり目が合う。

びっくりしたのは、ついさっきまで子どものように無邪気にはしゃいでいた先輩の表情が真剣で真っすぐだったということ。

その表情は、あまりにも見覚えがあった。

なんだか懐かしく感じる。

男の人ってみんな、真剣な時はこんな顔になるのかしら。

先輩の目線に動けなくなったはずの自分は、のんきにも昔のあの人を思い出した。



「俺さー。華ちゃんの第一印象、絶対無口で冷たーいお姉さんキャラかな、て思ってたん。そしたら、全っ然ちゃうのな!なんか話しかけたら、むっちゃ変わったことするおかしな子なん」

「そんなことっ…」

「そんなことあるで」



そして、無邪気に笑う。



「しかも、頼りないしな」

「すいません」



角野先輩は、入社当時のことを話しだした。