「くくっ。つれた、つれた!!」
なにか浮かれている先輩。
わけもわからず、しばらくそんな先輩を観賞していた。
「俺のこと、嫌やないんや?!」
この人は、さっきから何を言って…。
「俺のこと、好きなん?!」
「なっ、何をそんな急に…」
「だって、俺は奢られることが気になるんやったら帰り、て言うたんやで?のこる理由は、俺のことで聞いたんやで?」
意味がわからない。
自分は頭の中で先輩の言葉を何度も何度も、必死に走らせた。
先輩が自分に伝えたいことがまるでわからない。
すると、先輩はものすごいキメ顔で、人差し指を自分に突き出すというオプション付きの程よい声で叫ぶ。
「俺に気ぃあるて言うてるもんやん!」
わけがわからない。
よっぽど自分が馬鹿なのか、それとも先輩がアホなのか。
言っている意味がさっきからまるで通じない。
しばらくパニックになっている自分を見て、先輩は少年の様な顔をした。
「そんなに俺のこと、好き?」
どうしよう、大変だ。
自分なんかが恋していい身分なわけないのに。
どうしよう、なんか胸がキュンキュン、キュンキュン言っている。
好きになりそうだ。
そもそもこの人は、自分のこと好きなのか?
そんなわけない。
自分のことを好きになる人なんかいるわけない。
また約26年続く嫌がらせ、からかいに決まっている。



