これで自分たちの中学校生活はおしまい。

結局自分たちはバットエンドにしかなれないの。

ここまできて本当のところを言っちゃうと、栗山くんのことが好きだったんだよ、自分。

周りでは今、みんなが泣いている。

でも、自分は涙なんて出ない。

卒業式だからって。

涙なんて出ない。

でも唯一、ある人の顔を見たら、ボロボロと涙が止まらなかった。
社会の北口先生。

1年生の時からただ一人自分に優しく、近所のおじさんの様に接してくれた先生。

北口先生とは最後だからと思って、たくさん話していた。

本当の別れ際に先生に手紙を差し出した。



「すいません。これ、美術部の顧問の先生に、渡しておいてもらって、いいですか…。どこ探しても、いなくて…。うぅ」



泣いてぐしゃぐしゃの顔を北口先生に見せながら言うと、北口先生はぷっと吹き出した。



「やっぱり君は最後までおもしろいなぁ。ええよ!これからも前向いて強く生きいや!!」

「はい。ありがとうございました!また!!」



また会えることを願って、精一杯手を振って別れた。





栗山くんはどうなったかって?

知りません。

あれから、目も合うことはなかったし。

そして、これから会うこともない。

しかし、この生活のたくさんの人々とは、もう会えないんだ。

違う。もうあんな奴らと会わずにすむんだ。