学生の本分は学問。

まあ、青春が出来るのも、今のうちかもしれないけど。

最近、先生たちが進路のことで、うるさくなってきた気がする。

うちの天川(あまがわ)中学校は、実は相当な進学校だった。

それを知ったのは、中学2年生のはじめ。近所の人に言われた。

『あの学校、賢いもんなぁ。みんな、優秀な子ばっかりやなぁ』

『県内トップレベルやし。将来、いい学歴持って、良いとこ就職するんやろうなぁ』

そんな学校だったのか、はじめて知った、と最初は絶望したけど、自分のテストの順位が下から数えた方が早いことに納得した。

そして、自分に言い聞かせた。

大丈夫。

自分は標準レベル。

そうだ、そうだ。

一生懸命言い聞かせた。

そういえば、栗山くんはどこの高校へ行くんだろう。

まあ、知ったところでどうにもならないけど。

そろそろ自分も真剣に勉強するか。

今まで授業をまともに聞いてこなかったのが、仇となった。

でも、どうせもともと先生からもあまり良くは思われてなかったから、どっちにしろ自動的に成績も生活点も落とされる。

自分の決まった進路は、県の中でも良いとは、とても言えない高校。

間違っても、栗山くんとは同じところじゃないことは、よく分かっている。