本当に待ってくれよ!

そう思いながらも、勝手にあつくなる俺の顔。

いや、おかしすぎるだろうが!

ここは普通、「なんだ、このやろー」てなるところだろ!

相手は未だにこちらを睨みつけている。

俺はまるで、蛇に睨まれた蛙。

全く動けないし、目をそらすことすら出来ない。

しばらく止まった時間の中でようやく理解出来た。

心と身体より周回遅れで、やっと頭が追いついたってんだ。

こいつを初めてこんな間近で見た。

咲宮 華って奴は、近くで見ると意外にも綺麗な顔立ちをしている。

どんな感じかって聞かれたら、なんか、中学生にしては、すげぇ色っぽい気がする。

うん、そんな感じ。

あくまでも俺の意見なのだが。

どんな感じと言われても、とりあえず、色っぽい、大人っぽい。

そんな感じだ。

さらに、2周遅れで俺の頭が教えてくれた。

こいつは一目惚れってやつだ、と。

まだ睨む目で俺を威圧しているその子に、見惚れていた。



「おい、どうした。大丈夫か?おーい。聞いてんのかよっ、栗山!」



もうそんな水川の声も俺の耳には入らない。









第1章*栗山side 中編に続く。