内実コンブリオ

「だから、どんな形であれ、せっかく会えたんだし、と思ってさ。そしたら、慌てて連絡先書かなきゃって、思うよね、普通」

「…普通は書かないよ、多分。そんなこと思いつかないって」

「もしかして、やっぱり…迷惑だった?」



迷惑と言えば、そうだったのかもしれない。

お互い、違う道をちゃんと進んでいたのに。

考えてもみなかったところで出会わして、道は交わってしまった。

実は、余計なことをしないでほしい、と思わなかったわけでもなかった。

それでも、また出会えたことで、過去の過ちをようやく口にすることができる。



「あのさ、栗山くん」

「ん?」



名前を呼べば、面倒くさがらずに、いちいち反応してくれる。

だから、この人は優しい。

こんなに、いい人にまで自分は。

自分は栗山くんの黒目を、しばらく見つめた。

切れ長だけど、柔らかそうで丸そうな優しい目つき。

初めて彼の顔の輪郭、諸々のことをたった今、確認した気がする。

こんな感覚、確かに昔にもあった。

こんなに優しい目の人を、他と一緒にして、冷たくあたってしまった。

傷付けた。

傷付かない人生なんて無いとは、言うけど。

自分は知らない間にも、この人を意図的に傷つけていた。



「ごめんなさい」



自分がこういえば、栗山くんは困っている。