栗山くんは少し動きを止めた。
そりゃ、こんな中途半端な切り出し方で、わかるわけがない。
自分も慌てて、次に何を言えばいいのかを考える。
森緒ちゃんが、せっかく背中を押してくれたのに。
やっぱり自分は、事前にカンニングペーパーでも準備しておかないと。
「あ、あのっ…えっとね…」
ああ、みっともない。
次に何を言おうか、考えようとする。
どうしたら、ようやく決心したことを果たせるのか。
考える。
だけど、頭の中は真っ白になっていく。
「いいよ。ゆっくりで。…きっかけって、電話の番号のこと?」
「そ、そう…!」
お喋りをすればいいだけなのに、助けられた。
これだから、自分は。
こんな自分を、栗山くんはどうして。
頭の中では、こんなことを考えているのに、彼の目をしっかりと見ることができている。
「自分は、あそこで久しぶりに会えたとき、結局また、それっきりになるんじゃないかって…思ったから」
「俺も思ってたよ」
「え」
「だからだよ」
栗山くんは、コーヒーを啜った。
そして、にっこりと微笑む。



