内実コンブリオ




やっぱり辛かった。

給湯室の扉を開けると、誰も居ないことに心底ほっとする。

自分が中に入ると、ひとりでに扉は閉まった。

先輩本人を目の前にしている時には、やっとの思いで堪えていたものも、一人になったならば零れ落ちていく。

勇気を出して誘って、嫌われることを覚悟していたけれど、実際そうはならなかった。

辛い思いをさせた上に、気を遣わせてしまった。

それでも、角野先輩に本当の気持ちを伝えることができた。

それに関してはもちろん、よかったと納得している。

だけど。

また雫が、床に落ちていった。

ただ先輩の何かを堪えるようなあの表情を思い出すと、堪らなく胸が締め付けられる。

今まで気持ちよく終わらせられたことなんて、一度も無い。

いつもモヤモヤしている。

他の人も、こんなものなのだろうか。

金太郎飴のようにスパーンと、気持ち良くはいかないものなのだろうか。

深呼吸を何度も繰り返し、鼓動を落ち着けようとする。

涙は、今は無理やり押し込める。

その時だった。

扉が突然開き、自分の肩が上がったまま止まる。