「絶対、家の中から引きずり出したるもん!」

「引きずり出すって、そんな…」



クリスマス・イブの午前。

たった今は、なかなか会ってくれない彼氏と仲直りをしたいと、森緒ちゃんの彼の自宅まで押しかけようとしている、その道中であった。

張り切って歩みを進める森緒ちゃんの後を、自分は駆け足気味で追っていた。

似たような一戸建てが並ぶ、閑静な住宅街だ。

そこを新喜劇の様な動きをしながら、二人で森緒ちゃんの彼氏さんの自宅まで向かう。



「あと少しやで!」

「やばい、なんか緊張してきた…」

「何で華が緊張するんやし!」



自分が口元を押さえ、口から大事な何かが溢れるのを防ぐジェスチャーをして、まさに二人はコントをしている様な動きをしていた。

不審者だと思われかねない2人だったが、そんなことも構わずにいた。