外に出てから、10分後。
とうとう出陣の時がきた。
その証拠に、自宅の前まで真っ赤な乗用車がやって来た。
手を振り、その車に乗り込む。
「おはよー!華の家って、ここやったんやな。また遊びに来るわ」
「いいよ。寂しいから、いつでもどうぞ」
運転してもらっているのに、無言では申し訳ない、とこれから話題をふろうと思う。
今日、引っ張り出しに行く彼についてを。
彼女本人、気にしていないことを願って。
自分は、無神経なところがあるかもしれないから。
「あのー、ちなみに彼とは、どうやって出会った、の…?」
「んー?高校の男友達の後輩」
「しょ、紹介されたって、こと?」
「元々、その男友達と、よくつるんどったんやけどさ。その男友達によくついて来とった、一人やったん。なんか…話とか、気があってさ」
「へぇ…」
森緒ちゃんは昔から、なかなかのやり手だったと見える。
自分なんかでは、到底あり得ない出会い方だ。
そもそも、今の話の全体を理解するのに、少し時間がかかった。



