そして、待ちわびてか、土曜日のクリスマスイブが訪れた。
待っている人も居るかもしれないが、むしろ待っていない人も居るかもしれない。
普通の日と変わらず、過ごす人だって、居るのかもしれないのだから。
自分が実家に居る頃は、毎年お母さんがホールのケーキを買ってきてくれた。
そして、その上に乗っている砂糖菓子のサンタさんを、家族4人でどう分けようか、と騒いでいた。
あの頃が、ひどく懐かしい。
しかし、今日は今までのクリスマス・イブの中で、一番内容の濃い日となるだろう。
昼間に森緒ちゃんと、森緒ちゃんの彼氏を引っ張り出すし、夕方には栗山くんと居酒屋へ。
とても居酒屋なんて、聖なる日の前日に男女で 行く場所などでは、ないのだろう。
でも、これはこれで、特別な日になることは、間違いない。
少しワクワクする。
だけど、不安のが断然大きい。
今度こそは、上手くやろう。
そして、自分は玄関の扉を開いた。



