まさかこういう形で巻き込まれようとは、思ってもみなかった。
「それは、メールとか電話とか…」
「ううん。家まで直接行く!」
「それは自分も一緒に
「そうっ!!」
絶望にも似た感情が、一気に押し寄せる。
突然の話に当惑した。
少しばかり、頭が痛くなってきた気がする。
別に、嫌ってわけじゃない。
ただ、唯一嫌だとすれば、森緒ちゃんの彼氏さんに直接、会うかもしれない、という可能性についてだ。
今からでも、ひたすら気まずい。
「お願い!3人で遊びに行くってだけ!!」
自身の顔の前で、両手を合わせ、拝むような体勢で、森緒ちゃんは迫りくる。
「や、役目を終えたら、途中で帰ってもいい?」
「いいよ!なんか、その言い方は、使い捨てみたいで嫌やけど!!」
ずっと同じ体勢で、懇願してくる森緒ちゃんに、とうとう自分が折れる。
これは、まいった。
「わかった。ついて行きます」
「やった!ありがと、華!」
ああ、彼女のこの笑顔には、本当にまいる。
こんなことを思っている自分は、森緒ちゃんの彼氏気取りか。
そんな風に言っても、結局は力になりたがっている。
やっぱり自分は、彼氏の心情になっているのかもしれない。



