内実コンブリオ




『ごめん!今週末、仕事が急遽、入っちゃって…』

「え、つまり…」

『夜からでも会ってくれる?』

「え、あ…うん」

『どうしたの?』

「いや、大丈夫なんでも無い。夜からでも、大丈夫です」



予想していた答えと全く違い、それは見事な変化球でした。

ミットには収まらずに、後ろにそらしてしまった。



『じゃあ、どっか行きたいところとか、ある?いい店とか』

「…いい店…」



とても困った。

普段の休日に行くところといえば、スーパーや本屋くらいのものだもんな。

あいにく、店をあまり知らない。

それもいつもの通勤ルートでよく見るといったら、あの類の店しかない。

それを、ウケ狙いで、または冗談のつもりで言ってみる。



「駅前の居酒屋さんとか、くらいかな…」

『お、いいね!飲む?』

「へ…?!」

『だったら、俺もその日は電車で行く、ってのもありだけど!』

「え、あぁ…」