十分ふざけた事を言っているのは、承知の上だ。
それでも傷付けてしまったあの人に、何かしらをして、侘びたい。
過去が消えることは、普通ならば、絶対に無い。
こうして、今、何十年越しかに、あちら側から歩み寄ってもらえたということは、ある意味チャンスかもしれない。
今度こそ自惚れだったとして、それでも構いやしない。
だって、今度こそ、これが最後のチャンスかもしれないのだから。
あの人からのメールをもう一度、見てみる。
『この前はありがとう。よかったら、また会ってもらえたりしませんか?次の休みとか』
送信ボタンを押し、何と返そうかを未だに悩む。
いつだって、自分の中の自分は、往生際が悪い。
いい頃加減この際、過去のことは、吹っ切ってしまわねば。
自分で自分自身に喝を入れ、ベッドに寝転んだままで、文章をうち始めた。
『夜分に失礼します。お返事が遅くなって、ごめんなさい。次の休みの件ですが、予定はありません。 咲宮』
こんな感じでどうだろう。
堅すぎる?ええい、構うものか!
送信ボタンを、勢いよく押した。



