自分は思っていた。
『クリスマスという名前のつく至って普通の日に、別にあやかりたくはない』
心のうちで密かに、思っていた。
突然に何の話だ、と問われたって、それは仕方のないことだ。
説明が不十分すぎて、わかるはずがない。
先ほどの心のうちで吐いた台詞の根源は、このメールだ。
栗山君から届いた、お誘いのショートメール。
お誘いされた日は、ちょうどクリスマス・イヴ。
今年のクリスマス・イヴは、土曜日。
そして今は、木曜日の午後8時47分。
しかも、メールの返事も返さずじまいでいる。
一体どうしようか。どうしたらいいんだろうか。
テレビの中のバラエティ番組で、笑いが起こっている。
ベッドの上にて、ゴロゴロしている自分。
自分は一体、どうなりたいんだろう。
あの人の恋人になりたい?
そんな、なんておこがましい。
仲良くなりたい?
そんなの違う。
そんなこと、できる訳がない。
ただ、あの頃をやり直したいだけ。



