「もう、俺に構うな!」
「じゃあ、静かにしてもらっていいですか」
若手の男社員の冷たい一言に、俺は黙る。
だって、奴の目がすさんどったから。
その時、入口の扉が開く。
そこから入ってきたのは、華ちゃんやった。
片手に、蓋のついた紙コップを持っとった。
その姿を無意識に見つめると、目が合う。
あっちからも、こっちを見たってことや。
怒ってないんか?
そんな風に目が逸らせずにおると、華ちゃんが何事も無かったかのように、頭を下げる。
その瞬間、なんか複雑な想いがした。
「これは、どういうことや?」
「さっきから誰と喋っとるんか知りませんけど、いい加減、ぶつぶつ独り言みたいなの、止めてもらっていいですか」



