「なあ、なあ。角野さーん」

「ああ、もう!何や!」



俺は今、月に農業者のお宅に配布しとる広報誌の文書を作っとる最中やった。

取材に行った自分の書いた読めやんメモに苦戦して、混乱しとるところやった。

そんな時に森緒が、話しかけてきよった。

俺のデスクに、両手をついて。

こいつはいつも、いきなり過ぎる。

思わず、呆れからくる溜め息を吐く。

俺は一休みをするつもりで、ペットボトルに手を伸ばした。



「男の人って、恋人に相手してもらえやんかったら、やっぱり淋しいん…ですか?!」

「ぶっ!!げほっ、げほ…お、お前は本当にいきなり過ぎる!」



口に含んだお茶を、吹き出してしまった。

しかしパソコンに直接、噴射することだけは避けたくて、咄嗟に横に吹いた。



「うわわ。角野さん、汚ーい!」

「誰のせいや!」

「私?」

「そうや!!」



呑気に自分自身に指をさす森緒を見て、やっぱり呆れの溜め息しか出てこやん。

部下を甘やかしてばかりでは、あかん。

ちょっとだけ、心を鬼にする。

時には、厳しく言わなな。

俺は、すっと立ち上がった。