「ごめん!さすがにもう戻る!」

「うん。今ので話、終わった!華、ありがと。嫌味言われたら、私に言っといで。私からおばさんに言っちゃる!」



愛らしく舌を出して、片目を閉じる森緒ちゃん。

今や、定番の表情だ。

自分は、書庫をあとにした。

森緒ちゃんの彼氏さんだって、こんな可愛い、いい子と別れたくないはず。

いつも通りの文面で返事をする、というのだから、直接、声を聞かせないことに何かそれなりの理由があるはずだ。

でも、それがわからない。

この結末は、例え他人事だとしても、気になる。

自分も聞いてみようか、男性に。

と、今はこのようなことを考えていてはいけない。

邪念を振り払い、用件に集中する。

最後に残していたコピーを終え、用件メモのリストにチェックを入れた。

そして、急ぎで上司の元へと、駆け足で向かった。