久しぶりの書庫は、古い紙の匂いがした。
正直、嫌いではない。
深呼吸して前に進むと、ガサゴソと物音がした。
なんだ?このデジャヴな感じは。
一番、音が近いところの本棚を覗いてみた。
「わっ、華やったん?!ビックリするやん!」
そこには3冊のファイルを抱え、4冊目を探している様子の森緒ちゃんが居たのだ。
「じゃあ、さっきの溜め息も、華?」
「深呼吸なら、自分です」
「なあっ、聞いてよー。はーなー!」
「えっ…」
「あのな、さっき彼氏とやり取りしとったんやけどさぁ!」
「いや、だから、その話は後で…お昼食べる時に聞くって…」
「彼氏と仲直り出来やんよー!」
え、そんな。
森緒ちゃんに限って、そんなことがあるのか、と驚いた。



