「ど、どどどどうしたの?」
「もーう、いやっ!ダーリンと仲直りできやん!!」
それはそれは、盛大に叫んだ。
たった今、自分の半径1メートル以内は、注目の的だ。
大方、想像はつく。
おそらく、いつも通りに業務の最中、スマホでメッセージのやり取りをしていたのだろう。
「あの、後で。昼の休憩に詳しく話、聞くからさ。な?」
「絶対やにー!」
「うんうん。絶対な」
「ありがとーっ!」
自分の腕にしがみついて離さない、森緒ちゃん。
その姿が女の自分から見ても、可愛いとつい、思ってしまう。
そりゃ、こんな上目づかいで来られたら、男の人はみんなコロリ、といってしまうんだろう。
その前に自分が今、彼女に釘付けである。



