内実コンブリオ


その人と道で別れた後、平和に事が終わり良かった、と一息吐くことが出来る。

実際、今だってそうだ。

正直にものを言ってしまうと、面倒くさい。

休日に誘ってもらえて、嬉しい筈が辛い。

息苦しく感じている。

少し前まで角野先輩に誘ってもらえれば、電話がかかってくれば、ワクワクしていた自分だったのに。

栗山くんと十何年か振りの再会を果たしてから、自分自身がおかしい。

いつでも、会うことが出来てしまう、そんな術を手に入れてしまったから、だ。

自分が、とても我が儘になっている。

自分なんか、最低だ。

過去に人に散々、失礼なこと言い残しておいて、最低なのは自分の方だ。

少し前までは、好意を持ってくれていた相手に惹かれかけていたはずなのに。

昔の人が現れただけで、こんな風にいとも簡単に、答を出してしまっている。

痛い程、冷たい空気の中に居る街灯の灯りを見上げた。

その灯りを見つめては、涙が溢れた。

何かが喉の辺りをくすぐっては、涙腺まで込み上げて来る。

何で泣いているんだ?

何で、自分が泣いているんだ。

それは、あまりにも違うでしょ。

これは自業自得。

もっと早くに決断しない、自分が悪い。

もっと早くに決断しないから、面倒くさくなる。