普段、ニコニコと笑顔を絶やさずにいる人だ。

だから、たばこを吸うという事実を知った時、少し動揺してしまった。

何より、自分が先輩に隠し事をしたことで、そのこわさを体感している。

皆、自分も含めてだが、先輩と深く関わらず、日常を共に過ごしている。

「いつも笑顔で人当たりの良い人」という感想を持っているだろう。

実際に、自分もそう思っていた。

けれど、ずっとそのままで居られる、そんな人は存在できるわけないと痛感した。

普段はそんな素振りも見せずに振る舞う人に限って、不意に性格の一端を垣間見せた時ほど、恐ろしいことはない。

顔色を変えない人なんて、この世に存在するわけない、と覚悟していてもある時、その瞬間を出会ってしまうと、思わず体が強張ってしまうのだ。