次の休み…クリスマスだ。

偶然にも、クリスマスだ。

これは、栗山くんにとっても無意識、偶然だと願う。

そして、返事にとても困った。

自分が休日は、家でのんびりとしていたいインドア派だからだ。

そんな風にして迷っていると、後ろから声がかかる。



「お疲れ様、華ちゃん」

「あ、角野先輩…お疲れ様です。これからお帰りですか?」

「うん。華ちゃんも?」

「あ、はい」

「なら、送ってたろか?駅まで」

「い、いいんですか?そんな…」

「気にしやんといて。どうせ通り道やから。あ、嫌なら、無理には言わんけど!」

「嫌ってことはありませんが…」

「じゃ、送ってくわ」



角野先輩は、にっこりと嬉しそうに笑った。

それにしても、この人は言葉を巧みに扱う。

人が断れない、という弱みな部分をしっかりと握りしめて、離さない感じ。

なんて、こわい人。

恐怖とか、大それたものなんかではない。

ただ、こわい。