「一度言っちゃたら、もう仕方がないよ。そうやって今、本気で反省してるんだし。しっかり顔にも出てて、それが嘘なわけないよね」
森緒ちゃんを見つめる。
きっと彼女は今、不快な感触のものが胸と腹のあたりにいるのを、感じているのではないだろうか。
だから、そんなに辛そうな表情が、嘘でもやめられない。
「今、後悔しとる気持ち、彼氏さんにぶつけちゃったら…」
「ぶつける?」
「いやいや…伝えたら、いいんじゃないかな?」
「そうやんな…。自分から歩み寄れやんくなったら、終わりやもんな」
そう言った森緒ちゃんの顔は、不安を残してはいるが、瞳はまっすぐ前を見ようとしていた。
ようやく二人ともがお弁当を食べ終えると、森緒ちゃんはお弁当箱を風呂敷に包み、立ち上がる。
「よしっ!行こか、華」
明るい笑顔が降ってきた。
やっぱり自分は、彼女のこんなところが好きだ。



