「なあ、他に話すことはない?」
「あん?なに、華。私に喧嘩、売っとんの?」
「ひっ、ち、違う!」
森緒ちゃんに凄まれ、いつも以上に迫力があるので、思わず怖くてすくんでしまった。
先程、詳しい事情を聴いたばかりなので、機嫌があまりよろしくないのもよくわかることだが。
とにかく、未だに凄み続ける森緒ちゃんに、誤解を解こうと、自分は思いっきり慌てる。
とにかく、今の自分は情けない。
自分でそう思う。
「ただ、森緒ちゃんが辛いこと、吐き出してほしいなって。自分は、聞くことしか出来やんから。まだ何かあれば、どんどん聞くから。いつも森緒ちゃんには、自分、むっちゃ助けられとるし」
自分にしては珍しく、長々と喋ってしまった。
内容はとても、とても稚拙だが。
しかも、まとまっていない。
最悪だ。
焦っていたのもあるが、これはあまりにも酷すぎる。
それでも、自分は森緒ちゃんに、何かを伝えたかった。
「華。説明、下手過ぎ」
「うっ…」
「でも、ありがと。話、聞いてくれただけで、すっきりしたよ。
ありがとう、華」
お礼を何度も言われ、こちらが泣きそうになる。
お礼を言われる自分は、何も出来ていないのに。



