一昨日の夜、食事を終え、会計に向かった二人。



『やっぱ、ここのおいしいー』



当然のようにして、森緒ちゃんが前に出ると、財布を鞄から取り出す。

「待って」後ろからその声と同時に、森緒ちゃんの肩に手が置かれた。



『どうしたん?まだ食べる?』

『ううん、そうじゃなくって。たまには俺が払うよ』

『えっ、別にええよ。私、払うよ』

『いや、俺が払うって!』

『私が払う!』

『俺が!』『私!!』



という具合に、レジにて会計を待ち構えていた店員さんの前で、言い合いになったそうだ。

俺が、うちが、としばらく続いた。

激しい言い合いもようやく止み、二人とも息を切らしている。