「どうかされましたか?」
「いや、昔とは全然違うな…って、すみません。俺、失礼っすね。
昔のことはもう忘れて、比べないことにします」
「是非、比べてください」
「え」
「自分はあの頃のこと、絶対に忘れません。
今思えば、賑やか過ぎて、あの3年間で退屈なんて一度もしたこと、ありませんでしたから」
「あ…まあ、そりゃ、そうっすよね…」
栗山くんは、気まずそうに黙り込んだ。
そんなに気にしてもらうことなんて、何もないのに。
なんせ、過去のことだから。
むしろ今は、少し変化した自分に、もっと気づいてほしい。
正直のところ、中学時代なんて部活以外に、いい思い出なんて残ってやしない。
そうじゃなくても、今になって強く生きていくための教訓にちゃんとなっている。
あの頃の自分とは、ほとんど違う。
それをもっと自覚したい。
「つか、タメ口でいいっすよ。中学からの仲じゃないっすか」
「それを言ったら、栗山くんだって、敬語じゃないですか。それに、そんな恐れ多い…」
自分の気のせいかもしれないが、元気づけるように、栗山くんは明るく喋る。
その優しさに、また申し訳ないと思う。



