そんなある日、突然俺にとって地獄のような指示が出された。

嫌々ながらも従った俺もバカだった。

たまたま咲宮さんの机の隅に置いてあったもの。

わりと大きめで白く、真ん丸な消しゴムらしきものが本当にたまたま水川の目にとまったらしい。

それは、ねり消しゴムというものだった。

ねり消しゴムを知らない人は、ほとんどいないだろうと思うけど。

一応説明すると、スライムとまではいかないが、粘土の様な消しゴムだ。

ただあんなに大きなねり消しゴムを今までに見たことがなかったから、どこで売っているのか少し不思議に思ったのは確かだ。

俺はそのねり消しゴムを、咲宮 華さんの頭につけろ、と命令されたのである。

ねり消しは一度しっかり張り付くと、とるのが難儀だ。

さらに、手だけじゃなかなか取れない。

しかも、髪にくっついたら風呂に入らない限り取れないだろう。

咲宮さんはきっと困る。

そんな事を俺がやった。

周りの奴らは思いっきり笑ってやがる。

俺は笑えねぇ。

笑えねぇよ。

でも、黙ってそれに従う俺自身にも何だか笑えてきた。

これを聞いて、酷いと思う人もそんなこと特に大した事じゃないだろうと思う人もいるだろう。

そう思う人が1人くらいいてもいいというのに、どいつも見てみぬフリ、ひどい奴は、一緒になって大笑いしてやがる。

何が面白いんだか。

すると、いつも本を読みっぱなしの咲宮 華さんが突然動いた。