これからいうことは決まっている

心配しなくていいって言われたけど、このまま甘えっぱなしはよくない。
彼は人の上に立つ人であって、こういうトラブルに巻き込まれて変な噂が広まれば命取りになる
この家から出ていくと、焦っている彼の声を聴いて決意したのに……
顔をみるなり決心が鈍る。
離れたくない……と思ってしまった。。。。

「ん?」

早く言わなきゃと思えば思うほど声が出ない
震えて……上手く声が出せない。


「大丈夫か?」
「うん…。ごめん、迷惑かけて…」

ぽつりぽつり今の感情を言葉に変える


「謝らなくていいから。」
「…………うん。あのさ…私この家出るよ……。」


お互いの為を思ってとった選択。


また遠くにいけばいい
今度は海が近い町がいいかな、、

この町に想い出や未練はないと胸を張って言えない……。
地元なら思い入れなんて一つもないのに……
捨てても痛くもかゆくもないのに……
……彼と会ってしまってからおかしくなった。


「なんで?!俺は別に迷惑だと思ってないよ」
「元々住む世界が違うんだよ…一緒にいたらダメなんだよ」

自分で言っていて悲しくなった

住む世界が違う。レベルが違いすぎる。

「住む世界が違うってどこが?」
「どこがって………。」


全てだよ。。。
小さく縮こまって顔を伏せる。


今どんな顔をしているんだろう?
怒っているのかな…?それとも飽きられてるのかな…?
怖くて顔があげられない…。

「愛月、顔あげて?」
優しい声に顔を上げと、真っ直ぐ目を見て微笑む

。。。。?

「俺を頼って。必ず守るから。」
「………はい。」


両手を握り目を見て、揺るぎない真剣な表情で言うから。。。はいと答えてしまった
心の片隅で離れなければならないってことは分かっていたけど、もう少し一緒にいたいと願ってしまった。


「………お願いがあるんだけどいい?」
「なに?」

「一緒にここで生活したい」

少しでも一緒にいたかった
広くて大きなお部屋
初めはそわそわ慣れなくて落ち着かなかったけど、今は慣れて寂しく感じる
大きな部屋に一人って寂しいなって思う様になったのも理由だけど…
一番の理由は彼と一緒に居たかった。


「愛月がいいなら一緒に住もうか!」
「うん!」



この日めでたく同棲が始まった。
この選択が自分を苦しめるなんて誰が想像しただろうか…?