数分の思考停止を乗り越え、結論を出した
自分で確かめるしかない!

急いで来た道を戻る
最寄り駅に着き警戒しつつボロアパートまで戻り男の部屋の前で深呼吸をしてインターホンを押した


「いらっしゃい」

すぐに出てきて笑顔で出迎えてくれた


「聞きたい事があって」
「ここで話していると危険だから中に入って」
「お邪魔します。」

言われるまま中に入る。
この前と同じところに座るよう促された


「で、聞きたい事って何かな?」
「九条さんの仕事ってなんですか?
年齢は?
あんな大きなマンション借りてるのになんでここに住んでいるんですか?
それよりなんで私と関わろうとするんですか?
なんでそんなに親切にするんですか?
なんでそんなに。。。」


聞きたい事は山ほどあった。


分からない事や、知らない事ばかりで不安は募る
兎に角今は自分の中にある不安を取り除きたかった。
自分のことは一切話さずに相手の事だけを聞くなんて自己中かもしれないけど知りたかった


「わかった。わかったから。」

九条さんは順を追って丁寧に詳しく話してくれた


親が会社を経営していて引き継いだそうだ
仕事はIT関係
家で出来る仕事が多く出社率は低め
たまに会議で会社に顔をだすらしい
だから1人家で自由に仕事が出来るとのことだった


年齢は27歳
家族構成は祖父、祖母、父、母、九条さん、妹さんの6人家族
あのタワーマンションは元々ご両親が住んでおられていたが、引っ越すからということで引き継いで契約しているらしい
ボロアパートに住んでいる理由は、自然が多く時間がゆっくり流れている所が好きで、会社もそこそこ近いから選んだと教えてくれた
因みに私と何で関わるのかという質問については、前と同じでほっとけないという回答だった


偽善者?なのか?
見ず知らずの人を助けて自分の家に住めと普通の神経なら言わないし言えない
何か………あるんじゃないかと不安は募るばかりだった


「どうかな?あと聞きたい事ある?遠慮せずに何でも聞いてね」
「えっと…」

言葉に詰まっていると、質問した事以外にも生い立ちから始まり、色んな話をしてくれた
徐々に九条さんがどんな人か知れて、悪い人じゃないのかもしれないと思い出した


「俺ね、柚木さんの事守りたいって思ったんだよね。引っ越してきた日に会ってるんだよ
あと柚木さんの事会社の近くで偶然何度かみかけてね
会社の近くで見る君は凄く笑顔で人と楽しく歩いているのに、アパートで見かける君は全然違っていて
何となく今にも折れそうなくらい儚さを感じてずっと気になってたんだ…。」



。。。あ、そういえば、、、
タワーマンションがあった場所は自分がアルバイトをしている会社の近くだった

「そうだったんですね。。」




これを運命と呼ぶんだろうか?